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POST#23 

スマート農業最前線

炎天下の作業負担を軽減! 田んぼに入ることなく、ドローンで空中散布防除

炎天下の作業負担を軽減! 田んぼに入ることなく、ドローンでカメムシ防除

稲作農家にとって最も過酷な作業は、農薬・肥料の散布だと言います。例えば、カメムシ防除の場合、長袖上下に田植え長靴を履いて、重さ約40kgの薬剤を背負い、水を張った田んぼを歩きながら散布します。例年8月の作業ということもあり、熱中症の危険と常に隣り合わせとなります。このようなリスクを回避する手段の一つとして、農業用ドローンという選択があります。岩手県花巻市で農業用ドローンの教習施設を運営する『株式会社トップクルー』の皆さんと一緒に、実際に農業用ドローンを使っている生産者さんの田んぼを訪ねてきました。

  目次

  1. ドローンの種類により必要な資格が違います
  2. 真夏のカメムシ防除が、苦痛から楽しみに
  3. 炎天下の田んぼで倒れた経験から
  4. とことん農家目線で!
    ドローンを活用するためのノウハウを徹底サポート

ドローンの種類により必要な資格が違います

最初に訪ねたのは、岩手県奥州市の小澤輝彦(おざわ・てるひこ)さん。務めていた会社を退職し、2019年1月から専業農家として水稲と大豆を生産しています。

数年前からドローンでの農薬散布に興味があり、自動車学校のドローンスクールに通った経験を持つという小澤さん。スクールを終了して手にしたのは、撮影用ドローンの資格で、農業用ドローンを扱うノウハウは学べませんでした。農業用ドローンは通常のものと比べてサイズも大きく、薬剤を散布するためには、圃場の特徴に合わせた操作が必要になります。 専門的なトレーニングプログラムを受講できるドローン教習施設「UTC」(Unmanned Aerial System Training Center) 『産業用マルチローターオペレーター講習』は、農薬散布のカリキュラムに特化し、狙った箇所に均等に農薬を散布するスキルを学ぶことができる資格。農薬散布用ドローンは、散布を確実かつ安全に運用して頂くためにも資格を所持している人にしか販売していないメーカーもあり、今回ご紹介する世界シェア約7割を誇るDJI社製の農薬散布ドローン「アグラス MG-1シリーズ」もその一つです。この教習を受講する事で安心して機体購入までサポートして頂けます。

小澤さんが、新聞で目にした産業用ドローンを専門に扱う花巻市の『株式会社トップクルー』に問い合わせたところ、小澤さんの田んぼでドローンによる農薬散布のデモ飛行をすることになりました。実際に見ることで「これなら自分の田んぼでもドローン散布ができる」と実感し、2019年1月に『株式会社トップクルー花巻営業所』の教習施設で、『UTC産業用マルチローターオペレーター認定証』を取得しました。

真夏のカメムシ防除が、苦痛から楽しみに

小澤さんが所属する『寿(ことぶき)営農組合』は、小規模の田んぼが多く、ヘリコプターでの農薬散布に適さない地域です。高齢の組合員も多い中、これまで人力での散布を余儀なくされてきました。今年は、田植え後の除草剤をドローンで散布したところ、半日かかっていた作業が30分から1時間で終了しました。田んぼに入ることなく、時間的にも体力的にも比較にならない程、楽に終えたそうです。

農業用ドローンは、有資格者2名体制が基本。無線でドローンの位置を伝え合いながら、安全で確実な散布を実施

「今は慣れてきましたが、初めての散布は緊張しました」と小澤さん。初散布には『株式会社トップクルー』のスタッフが立ち会い、天候や風向きなどを考え、散布の高さやスピードなど作業をサポートしてくれたと言います。これから夏にかけて、カメムシや、いもち病(菌が原因となる稲の病気)の防除を予定していますが、今まで大変な重労働だった農薬散布が、むしろ楽しみになっているとのこと。液体だけでなく粒薬散布も可能なので、水稲のほか大豆の追肥などドローンの活躍の場は、ますます広がっていきそうです。

炎天下の田んぼで倒れた経験から

次に訪ねたのは、岩手県紫波郡紫波町の阿部庄幸(あべ・しょうこう)さん。5年ほど前から本格的に農業に従事し、昨年11月に『株式会社トップクルー』のドローン教習施設で資格を取得しました。

現場でスムーズな作業ができるよう念入りに指導。マンツーマンで、分かるまで教えてくれます

「70歳ですからね、最年長ですよ」と話す阿部さん。教習施設は、座学1.5日、実技3.5日の全5日間。「まっすぐ飛ばせなくて、悔しい思いをしました」と言い、若い生徒さんに比べて、指先の細かい動きやバランス感覚など、実技で苦労したそうです。

ではなぜ、70歳でドローンの資格取得に挑んだのでしょうか。昨年8月、阿部さんは一人で作業中の田んぼで転倒しました。重い肥料を背負っていたこともあり、すぐに立ち上がることも、助けを求めることもできませんでした。このことが、ドローンの導入を考えるきっかけになりました。

教習施設の実技で苦労はしましたが、マンツーマン指導でゆっくりと上達し、マニュアル飛行でまっすぐ飛ばせるようになりました。現在では、阿部さんが理事を務める『大巻(おおまき)農産』の組合員の散布も請け負っています。「夏に大きい田んぼの散布を予定していますが、もう田んぼを歩かなくて済むし、楽しみです。農業用ドローンの導入で、80歳、90歳と長く農業とかかわっていきたい」と話してくれました。

とことん農家目線で!
ドローンを活用するためのノウハウを徹底サポート

(左から)『株式会社トップクルー』の高橋さん、古舘さん、川村さん、柘植さん

「農業用ドローンの性能を最大限に引き出せば、夏場に行う農作業の重労働から解放されます」と話すのは、『株式会社トップクルー』代表取締役の古舘裕三(ふるだて・ゆうぞう)さん。社内には、10年以上のヘリコプター散布の経験を持つインストラクターをはじめ、実際に農業を営むスタッフや農薬アドバイザーが多数在籍しています。そのため、ドローンの操縦だけでなく、適した農薬や肥料の情報提供、散布する時期、薬品濃度、散布スピードに至るまできめ細かなアドバイスを受けることが可能です。「ドローンを売って終わりではなく、生産者さんがご自分の圃場で薬品を均一かつ安全に散布できることが、うちの教習施設の目的です」と古舘さん。

病気が発生したらすぐに、発育の悪い部分にピンポイントで散布するなど、より効果的な農薬・肥料の使用ができるようサポートを継続。購入後や、教習施設の卒業後も、生産者さんとの長いお付き合いを重ねています。

農業用ドローンはさらに便利に進化を遂げ、2019年6月には自動操縦の農業用ドローンが発売されました。

自動走行する軌跡は、手元のコントローラーで確認可能。搭載したカメラで畑の様子も確認できる

『株式会社トップクルー』では、自動操縦システム搭載の『MG-1P RTK』を所有しています。「口で説明するより、実際に見ていただいた方が良い」と、依頼があればどこへでも駆けつけ、自動操縦でのデモ飛行をしてくれるそうです。
2019年7月からは、県内トップを切って自動操縦ドローンの教習コースも開設してます。自動航行のノウハウは折り紙つきです。
こうしたドローンの技術進化は、体力的負担の軽減のみならず生産者の働き方を大きく変えました。小規模の圃場や高齢者にこそ、スマート農業の最先端技術を試して欲しいと、古舘さんは言います。まずは、実際にドローンが飛行しているところを見てみませんか?トップクルーの皆さんに、気軽に相談してみてください。

【お問い合わせ】
株式会社トップクルー
花巻営業所
岩手県花巻市大通1丁目3番5号
花巻市ビジネスインキュベータ2F 5号室
TEL:0198-29-4120

UTCについて

UTC(Unmanned Aerial System Training Center)は、民生用ドローンと空撮技術で世界をリードするDJIによって設立されたドローンの産業パイロット教育機関です。UTCはワンストップのトレーニングサービスを通じて、各産業界向けドローン教育研修プログラムを開発・提供しています。 中国、香港、台湾、マレーシアで運用開始し、日本では2018年9月よりサービスを開始し、do株式会社がUTCの企画・運営を行います。

DJIについて

民生用ドローンと空撮技術で世界をリードするDJIは、リモート操縦できるマルチコプターの実現に情熱を注ぐスタッフにより創業、運営される、飛行制御技術と手ぶれ補正のエキスパートです。DJIは、プロ、アマチュアユーザーのために、革新的なドローンとカメラ技術を開発、製造しています。DJIは、世界中のクリエイターやイノベーターにとって、空撮技術とツールがより身近で使いやすく、安全になるよう取り組んでいます。現在、北米、ヨーロッパ、アジアに拠点を構え、世界100ヵ国を超えるユーザーが、映画、広告、建設、消防や 農業をはじめとする多くの産業分野においてDJIの製品を愛用しています。

 

 

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