なぜ国家資格が必要なのか？

2022年6月より施行された改正航空法により、ドローンの飛行には機体の登録が義務化され、さらに、2022年12月からドローン操縦の免許制度（国家資格）が導入されました。以前は、民間資格やメーカー独自の認定で操縦が可能でしたが、ドローン市場の拡大と安全確保の観点から、国土交通省による統一的な資格制度が導入されたのです。

具体的には、人口集中地区上空や夜間飛行、イベント上空など、これまで許可・承認が必要だった飛行の多くが、「無人航空機操縦者技能証明」を取得することで、より簡易な手続きで飛行可能になります。無資格での飛行は、法律違反となるだけでなく、安全上のリスクも高まります。飛行ルールや機体の知識が不足したまま飛行することは、事故につながる可能性があるため、国家資格の取得は安全なドローン運用の基盤と言えるでしょう。

国家資格の種類と違い

ドローンの国家資格には、「一等無人航空機操縦士」と「二等無人航空機操縦士」の2種類があります。この2つの資格の大きな違いは、飛行できる空域と必要な手続きです。

一等無人航空機操縦士は、より広範囲の飛行が可能です。人口密集地など、二等無人航空機操縦士では原則禁止されている飛行について、補助者なしの目視外飛行が許可されます。

一方、二等無人航空機操縦士は、人口密集地や空港周辺、イベント上空などで、補助者ありの目視外飛行が可能です。ただし、「立入管理措置」と呼ばれる、第三者が飛行範囲に立ち入らないようにする対策を講じ、特定の条件下で飛行することが必要です。飛行前には、飛行計画を国土交通省に提出するなど、一定の手続きが必要となります。

資格取得のメリット

就業機会の拡大

ドローンは測量、点検、空撮など、さまざまな分野で活用されており、今後ますます需要が高まると予想されます。国家資格を取得することで、ドローン操縦のプロフェッショナルとして活躍の場を広げることが可能です。操縦技能の証明となるだけでなく、責任感や安全意識の高さもアピールできます。

飛行範囲の拡大

国家資格を取得することで、特定飛行が可能になります。一等無人航空機操縦士は、人口集中地区の上空飛行など、より高度な飛行を行えます。二等無人航空機操縦士も、立入管理措置を取ることで特定飛行が可能になります。飛行範囲が広がることで、ドローンを活用できる業務の幅が広がります。

信頼性の向上

国家資格は国が認めた資格であるため、その信頼性は高く、クライアントや関係者からの信頼を得やすくなります。責任ある操縦を行う証明となるため、ビジネスチャンスの獲得にもつながります。

講習受講

ドローン国家資格を取得するための第一歩は、登録講習機関での講習受講です。講習時間は、資格の種類と経験の有無によって異なります。経験者の方は、一部講習が免除されるため、より短期間で受講可能です。

講習内容は、国土交通省が定めた履修科目と時間数に基づいて実施されます。座学では、無人航空機に関する法規制、機体のシステム、操縦者の役割、リスク管理など、安全な飛行に必要な知識を学びます。実技では、飛行計画の作成、機体の点検、基本操縦、緊急時の対応など、実践的なスキルを習得します。

指定試験機関で学科試験・身体検査を受ける

実地試験に合格した後、指定試験機関（一般財団法人日本海事協会）にて学科試験を受験します。また、国家資格を取得するためには、身体検査にも合格する必要があります。

申請と登録

ドローン国家資格の申請と登録について説明します。登録講習機関の講習を修了し、学科試験にも合格すればいよいよ申請手続きです。技能認証は、申請書類と手数料を国土交通省に提出することで取得できます。必要な書類は申請窓口やホームページで確認しましょう。

申請に必要な「技能証明申請者番号」は、ドローン情報基盤システム（DIPS2.0）のホームページから事前に取得しておきましょう。申請が承認されると、正式なドローン免許（無人航空機操縦者技能証明）が発行され、ドローンを飛行させる際の活動範囲が大きく広がります。